医学生Gの数学ノート

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#18 受験で使える!三角形の面積公式シリーズ

 こんにちは、医学生Gです。昼夜の温度変化が激しい季節になってきましたので、体調面には十分気をつけてくださいね。

今回は三角形の面積公式を色々な単元からかき集めて並べてみました。一覧にしてみることで、「どんな時に使うと便利か」というような各公式の性格も見えてきますよね。それではリズムよくサクサクとみていきましょう!

 

1)基本の三角形の面積

 

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上図のように△ABCがあり、点Aから辺BCに下ろした垂線の長さをh、辺BCの長さをaとする。

その時、三角形の面積Sは

 

S=\frac{1}{2}ah と表すことができます。

小学生で習う 底辺×高さ÷2 ですね。

 

 

2)三角比を使った面積公式

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上図のようにCB=a、CA=b、∠BCA=θ とすると

面積Sは

S=\frac{1}{2}ab\sinθ

これは三角比の単元で習います。

二辺とその間の角がわかっている場合はこの公式で一撃ですね。

 

 

3)ヘロンの公式

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AB=c、BC=a、CA=bとすると

面積Sは

 

S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}

s=\frac{a+b+c}{2}

 

 このヘロンの公式は三角形の高さとか三角形の1つの角度を出さずに3辺の長さだけわかっていれば面積を出すことができます。面積を求めてから2)の公式を利用してsinを求めることもできますので、覚えていない人はしっかりと頭に入れておきましょう。

 

 

4)内接円の半径を使った面積公式

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AB=c、BC=a、CA=b、内接円の半径をrとすると

面積Sは

 

S=\frac{1}{2}r(a+b+c)

 

 この面積公式は三角比の問題で登場しがちです。センター試験でも図形の問題ででてきますね。「面積を求めよ」ではなく、「内接円の半径を求よ」という問題でもこの公式が有効です。

 

 

5) 2)の面積公式を少し変形させたもの

正弦定理より

 \frac{c}{\sinθ}=2R   ※Rは△ABCの外接円の半径

\sinθ=\frac{c}{2R}

ですのでこれを2)の面積公式

 S=\frac{1}{2}ab\sinθ

 に代入すると、

 S=\frac{abc}{4R}

となります。 

 

 この公式は三角形の3辺の長さと外接円の半径さえわかっていれば三角形の面積を求めることができます。まぁ、3辺の長さがわかっているのでヘロンの公式でも求めることができます。

 

 

 6)ベクトルを使った面積公式

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上図のように△OABがあり、\vec{OA}=\vec{a}\vec{OB}=\vec{b}とする。

すると2)の面積公式より、

S=\displaystyle\frac{1}{2}|\vec{a}||\vec{b}|\sinθ

\sinθ=\sqrt{1-\cos^2θ}より

S=\displaystyle\frac{1}{2}|\vec{a}||\vec{b}|\sqrt{1-\cos^2θ}\cdots①

ここで内積を利用してまた式変形します。

\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cosθ

\displaystyle\cosθ=\frac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}

このcosθを①の式に代入します。

すると

\displaystyle{S=\frac{1}{2}|\vec{a}||\vec{b}|\sqrt{1-{\left(\frac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}\right)}^2}}

 

\underline{S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{{|\vec{a}|}^2{|\vec{b}|}^2-{(\vec{a}\cdot\vec{b})}^2}}

 

 

 7)ベクトルを使った面積公式 成分バージョン

\vec{a}=(x_1,y_1)\vec{b}=(x_2,y_2)とし、6)の面積公式に代入して整理していきましょう。

S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{({x_1}^2+{y_1}^2)({x_2}^2+{y_2}^2)-{(x_1x_2+y_1y_2)}^2}

 S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{{x_1}^2{y_2}^2-2x_1x_2y_1y_2+{y_1}^2{x_2}^2}

S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{{(x_1y_2-y_1x_2)}^2}

\underline{S=\displaystyle\frac{1}{2}|x_1y_2-y_1x_2|}

 

 この公式はベクトルの問題に限らず、三角形の各頂点の座標がわかっていればすぐに面積を求めることができます。とても使いやすい公式ですので積極的に使ってみてください。

 

 

IA IIBの範囲で登場する面積公式はざっとこんなものかなと思います。特にマーク試験は短時間で答えの数値を出すことが求められるので、色々な公式を知っておいて状況に応じてベストな公式を使えるようになると良いでしょう。この記事を読んで数学の点数を少しでも伸ばしていきましょう。