医学生Gの数学ノート

スキマ時間で読める数学の記事を数学塾講師経験のあるメンバーがお届けします!

#23 合同条件・相似条件

 こんにちは、医学生Gです。今回は 合同と相似 の話をしていきたいと思います。合同、相似は中学で登場して以降高校に入っても当たり前のように使う分野ですので、しっかりと理解していきましょう。

 ここでは、できるだけゆる〜い言葉でふんわりと解説していくので、定義など正確な表現は各自教科書等で確認してくださいね。

 

 1)ざっくり説明

合同形も大きさも同じ図形のこと。対応する辺の長さも、角の大きさもそれぞれ等しくなる。

 例えば下の図の△ABCと△DEFが合同な図形であるとします。同じ形、同じ大きさなのでAB=DE、BC=EF、CA=FD さらに ∠A=∠D, ∠B=∠E, ∠C=∠F となります。 要するに全く同じ図形が2つ並んでいるだけです。

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相似形は同じだが大きさが異なる図形のこと。対応する角の大きさは同じですが、対応する辺の長さは違います。ただし、辺の長さのは同じになることが重要です。

 例えば下の図の△ABCと△DEFが相似な三角形であるとします。まず形は同じなので角度は等しく ∠A=∠D, ∠B=∠E, ∠C=∠F 。さらに辺の比が等しいので AB:DE=BC:EF=CA:FD という関係が成り立ちます。

 もし、「DEはABの1/2倍、EFはBCの1/3倍」のように辺の比が違っていたらどうなるのでしょうか。イメージできますか? 歪んでもとの図形とは違う形になってしまいますよね。このように同じ形であることを維持するには全ての辺を同じ比率で伸ばしたり縮めたりする必要があるわけです。この比のことを相似比と言います。AB:DE=BC:EF=CA:FD=2:1 であるならば 相似比は2:1です。

 

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2)合同条件

突然ですが問題です。あなたはいまから電話越しに指示をして、下に示す△ABCと同じ三角形を通話中の相手に書いてもらうとします。全く同じ三角形を書いてもらうためには、あなたはこの△ABCの特徴をどの様に伝えたら良いでしょうか。

 

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「∠C=30°、BC=2\sqrt{3}、AB=2 の三角形」と伝えるのはどうでしょう。

一見大丈夫そうに思うかもしれませんが、ダメなんです。

下の図を見てください。
この条件を満たす三角形は正解である△ABCの他に△DBCもあるのです。
これでは、正確に伝えられたと言えませんよね。

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正確に伝えるためには次の3つのうちのいずれかの伝え方をしなくてはいけません。

a)3辺の長さ を伝える
b)2辺の長さとその間の角度 を伝える
c)1辺の長さとその両端の角度 を伝える

これらの伝え方であれば先ほどのように候補が二つでたりせず、三角形の形状がただ一つにビシッと決まります。

合同条件とは、二つの三角形が形も大きさも同じであることを保証するための条件ですので、考え方は先ほどのa)b)c)と同じです。少しだけ言い方を変えて、以下の3つを三角形の合同条件と言います。

a)3辺の長さがそれぞれ等しい

b)2辺とその間の角がそれぞれ等しい

c)1辺とその両端の角がそれぞれ等しい

複数の三角形があって、これらのいずれかを満たすのであれば、それらは合同であると断言できるのです。

 

 

3)相似条件

先ほどと少しだけ変わって、大きさは違えど同じ形の三角形であることを保証する条件のことです。合同条件をベースに考えてみましょう。

 

まず合同条件

a)3辺の長さがそれぞれ等しい

b)2辺とその間の角がそれぞれ等しい

c)1辺とその両端の角がそれぞれ等しい

 

これをベースに相似バージョンにしようとしてみます。

次の図の三角形において、条件を考えてみましょう。

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a)AB:DE=BC:EF=CA:FD
   つまり、3組の辺の比が全て等しい こと

b)∠B=∠E  かつ AB:DE=BC:EF 
   つまり、2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい こと

 

c)∠B=∠E  かつ ∠C=∠F  かつ BC:EF=....??(何と等しくなるんだ)??

   つまり、1組の辺の比とその両端の角が等し…? ん?

c) で困ったことが起きましたね。辺の比が1組しかないと、比較対象がないために等式ができず、条件として機能しません。よって、一辺とその両端の角 作戦はだめみたいです。

 

かわりに、何か別の条件はないでしょうか。

あります。大きさが同じでなくてもいいなら、三角形の角の大きさが全て等しいだけで同じ形になります。三角形の内角の和は180°だから2つわかってしまえば自動的にもう1つも決まるということを考えて、

c)2組の角がそれぞれ等しい

この条件なら相似であることを保証できます。

 

まとめると相似条件は

a)3組の辺の比が全て等しい

b)2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい

 c)2組の角がそれぞれ等しい

の3つになります。

 

 

 

 

いかがでしたか?今回の記事は以上になります。私たちが最も伝えたかったことは、
合同条件、相似条件は別々のものではなくそれぞれが深く関わりあっている
ということです。相似と合同を学年を跨いで別々のタイミングで学習される方も多いと思いますが、これら2つを全く別のものだと思わず、関連付けて頭の中に入れておいてください。

 

合同、相似は中学数学で最も"証明する力"が試される分野だと思います。正確かつスマートな証明ができるようになれば高校数学でも有利になることは間違いなし!ですから、どんどん難しい問題にチャレンジしてパワーアップしていきましょう。

 

 

#22 ベクトル講座(内分点・外分点の立式を詳しくみていく)

 みなさん、ベクトルの調子はどうですか。苦手意識はありますか。ベクトルが使えると、これまで閃めきが必要だった図形問題もゴリゴリ計算で解くことも可能になります。ですので、図形が苦手な人も頑張って取り組んでほしいです。

 

話を戻してベクトルはしっかりと立式できるかが重要です。今回はベクトルの中でもつまずく人が多い内分、外分点についてベクトルの立式の練習と思って説明していきます。それでは早速みていきましょう。

 

1)内分点のお話

例1) 線分ABを3:1に内分する点P

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①1つ目の考え方

OからスタートしてAまで行き、Pに行くと考えると

\displaystyle\vec{OP}=\vec{OA}+\frac{3}{4}\vec{AB}

\displaystyle=\vec{OA}+\frac{3}{4}(\vec{OB}-\vec{OA})

=\displaystyle\frac{1}{4}\vec{OA}+\frac{3}{4}\vec{OB}

 

②2つ目の考え方

線分OAと線分OBをそれぞれ4等分しておいて、分けられたOAとOBをそれぞれいくつ足せば点Pにたどり着けるかという考え方でやると、

\displaystyle\frac{1}{4}\vec{OA}×1\displaystyle\frac{1}{4}\vec{OB}×3 を合わせることで点Pに行けますね。

これより

\displaystyle\vec{OP}=\frac{1}{4}\vec{OA}+\frac{3}{4}\vec{OB}

 

つまり、

\displaystyle\vec{OP}=\frac{\vec{OA}+3\vec{OB}}{4}

\displaystyle =\frac{\vec{OA}+3\vec{OB}}{3+1}

 

以上の考え方を用いると

一般に、線分ABをs:tに内分する点Pは

\displaystyle\vec{OP}=\frac{t\vec{OA}+s\vec{OB}}{s+t} と表すことができます。

 

よくベクトルでは分母を消せるように s+t=1、つまり s=1-t とすることが多いですのでこれも覚えておきましょう。

 

2)外分点のお話

外分点の公式をみてみると内分の公式にはないマイナスが登場してますよね。あれってどこから来たの?って疑問に思いませんか。これから外分の公式がどのように考えられてできたかを説明します。

例)線分ABを3:1に外分する点P

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視点を変えて、外分を内分として考えてみましょう。

点BはAPを2:1に内分する点と考えることができます。

つまり1)の内分の公式を利用すると、

 \displaystyle\vec{OB}=\frac{\vec{OA}+2\vec{OP}}{3}

両辺3倍して 3\vec{OB}=\vec{OA}+2\vec{OP}

移項して 2\vec{OP}=-\vec{OA}+3\vec{OB} ←ここでマイナスが登場しました!

\vec{OP}=\frac{-\vec{OA}+3\vec{OB}}{2}

\displaystyle\vec{OP}=\frac{-\vec{OA}+3\vec{OB}}{3-1}

これでいつもの外分の公式になりましたね。

 

これを一般形で考えてみます。

線分ABをs:tに外分する点Pを考えてみましょう

 

ⅰ) s>tの時

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BはAPを(s-t):tに内分する点と考えると

  \displaystyle\vec{OB}=\frac{t\vec{OA}+(s-t)\vec{OP}}{(s-t)+t}

両辺をs倍すると

s\vec{OB}=t\vec{OA}+(s-t)\vec{OP}

移項して

(s-t)\vec{OP}=-t\vec{OA}+s\vec{OB}

両辺を(s-t)で割ると

\displaystyle\vec{OP}=\frac{-t\vec{OA}+s\vec{OB}}{s-t}

 

ⅱ) s<tの場合

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AはBPをs:t-sに内分する点として考えると、

 \displaystyle\vec{OA}=\frac{s\vec{OB}+(t-s)\vec{OP}}{(t-s)+s}

両辺をt倍すると

t\vec{OA}=s\vec{OB}+(t-s)\vec{OP}

移項して

(t-s)\vec{OP}=t\vec{OA}+s\vec{OB}

両辺を(t-s)で割ると

\displaystyle\vec{OP}=\frac{t\vec{OA}-s\vec{OB}}{t-s}

右辺の分母分子に-1をかけると

\displaystyle\vec{OP}=\frac{-t\vec{OA}+s\vec{OB}}{s-t}

となりⅰ)と同じ形になりましたね。

 

ⅲ) s=tの時

s=tの時?って思った人も多いんじゃないでしょうか。直線上で2点の外側にあり、2点から等しい距離にある点を想像してみてください。s>tからどんどんs、tの値を近づけてみると、、、

 

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点Aと点Bが一致しましたね。直線上で2点の外側で、2点から等しい距離にある点は2点が同一の点の場合である以外には作れません。つまり、s=tの時の2点からの外分点は存在しません。

 

 

 外分の公式では一見、内分の公式のtが-tになったようにみえます。このマイナスがどこからやってきたのか。何度も言いますがそれは移項によって生まれたものです。ただ単に公式を覚えるのもいいですけれども、なんでこうなるんだ?と疑問に思うことも大事ですね。

 

 これまで内分・外分の公式をベクトルを使って証明していきましたが、立式するということの感覚を少し分かっていただく事はできたでしょうか。点の位置関係をそのまま式で表す。言ってしまえばそれだけなのですが慣れるまでは大変ですよね。もう少し、立式の練習として次の問題に挑戦してみましょう。

 

3)例題

関係\displaystyle\vec{OA}=3\vec{AB}+2\vec{AD}を満たす四角形ABCDがある。ABを2:1に内分する点をP、ACを1:1に内分する点をQとし、PQの延長線とCDとの交点をRとしたとき、比CR:RDを求めよ。(小樽商科大)

 

 

 

 

ここから下は解答を載せておきますので、解き終わったら参考にしてください。

 

問題文より

\begin{cases}①点Cは3倍の \vec{AB}と2倍の \vec{AD}のところにある点\\②点Pは直線AB上の点\\③点Qは線分ACの中点\\④点Rは直線DC上の点\\⑤点Rは直線PQ上の点\end{cases}\

これから以下のように立式することができる。

(ひとつずつ丁寧に、正確に立式していこう!)

 

\displaystyle\begin{cases}①\vec{AC}=3\vec{AB}+2\vec{AD}\\②\vec{AP}=\frac{3}{2}\vec{AB}\\③\vec{AQ}=\frac{1}{2}\vec{AC}\\④\vec{DR}=t\vec{DC} \quad直線上にある場合は実数倍で表すことができる。\\⑤\vec{PR}=s\vec{PQ}\end{cases}\

※t、sは実数

 

今求めたいのはCR:RDであるので①〜⑤を用いてs、tの値を求めることができれば、解くことができる。

(では、ベクトルの始点をAにそろえて解いていきます。)

 

①、③より

\displaystyle\vec{AQ}=\frac{1}{2}(3\vec{AB}+2\vec{AD})

               \displaystyle=\frac{3}{2}\vec{AB}+\vec{AD}\cdots⑥

 

④より

\vec{DR}=\vec{AR}-\vec{AD}=t\vec{DC}

\vec{AR}-\vec{AD}=t(\vec{AC}-\vec{AD})

\vec{AR}=t\vec{AC}+(1-t)\vec{AD}

①を代入して整理すると、

\vec{AR}=3t\vec{AB}+(1+t)\vec{AD}\cdots⑦

 

⑤より

\vec{PR}=\vec{AR}-\vec{AP}=s\vec{PQ}

\vec{AR}-\vec{AP}=s(\vec{AQ}-\vec{AP})

\vec{AR}=s\vec{AQ}+(1-s)\vec{AP}

②、③を代入して整理すると

\displaystyle\vec{AR}=(\frac{2}{3}+\frac{5}{6}s)\vec{AB}+s\vec{AD}\cdots⑧

 

(⑦、⑧のように同じもの\vec{AB}、\vec{AD}を使って2通り表すことで、その係数を比較することができる。)

⑦、⑧の係数を比較して

\displaystyle\begin{cases}3t=\frac{2}{3}+\frac{5}{6}s\cdots⑨\\1+t=s\cdots⑩\end{cases}\

⑨×6を⑩に代入して

18t=4+5(1+5)

13t=9

\displaystyle t=\frac{9}{13}

これを⑨or⑩に代入すると

\displaystyle s=\frac{22}{13}

 

\displaystyle\begin{cases}t=\frac{9}{13}\\s=\frac{22}{13}\end{cases}\

 

よって

\displaystyle\vec{DR}=\frac{9}{13}\vec{DC}

 

DR:RC=9:4  (答)

 

 

先ほども述べましたが問題文を読んで与えられた条件をしっかり立式することができれば、あとはゴールに向かってゴリゴリ計算するだけで解けるのです。このことをしっかりマスターすれば、トリッキーな閃きなんて必要とせずに図形の問題を解いていくことができます。これって魅力的なことですよね。

ただしゴリゴリ計算の部分ではどうしても計算の正確さ・スピードが必要になってきますので、その点も含めていろいろ問題を解く中でパワーアップしていって下さい。

 

#21.5 展開・因数分解をマスターしよう

皆さんこんにちは。

年度始めは「展開・因数分解」を教えがちな医学生Gです。

高校1年生も、中高一貫の中学生も、この時期はみんな因数分解に頭を悩ませているイメージがあります。そんな皆さんの助けになればとワークシートを作成しましたので、その共有をするためにこの記事を書いています。

 

いろんな問題集を眺めてみると、1つのテクニックが登場して、そのパターンばかりをひたすら練習して... の繰り返しになっているものが多いですよね。もちろん一歩ずつ丁寧におさえていくのは大切なことですが

ひとつのテクニックをひたすら練習!では解けるけど、ごちゃ混ぜにされるとどの公式を使えば良いかわからない... 

ってなる人はいませんか?

 

そのような人のために、この単元の全体像をつかむためのワークシートを作ってみました。

ひねりのある問題を解く為のテクニックはおいておいて、基本の技だけを並べるとせいぜいプリント1枚におさまるくらいしかないんです。ですからまずは、ここに載っていることをマスターしてくでさい。

全体を見わたすことで、知識を整理してもらいたいと思います。

この記事の後半で、いくつかポイントをお伝えします。

 

以下のURLからダウンロードしてください。

展開・因数分解全体像をつかむためのワークシート

G展開・因数分解.pdf - Google ドライブ

穴埋め問題形式はこちら      ←ぜひ使ってね!!

G孔展開・因数分解 .pdf - Google ドライブ

 

 

(中学生レベル)となっているのはワークシートを作る時たまたま、中高一貫の中学生にたすき掛けを教えていたからですので 特に気にしないでください。 

 

さて、このワークシートをみながら次のポイントをおさえてください。

 

・展開・因数分解は互いに逆向きの操作であり、登場する公式は同じである。

・ 1)の式さえ知っていれば2)から6)の式は全てそこから導くことができる。

・ なんなら、1)の式も分配法則を使って導くことができる。

・ たすき掛けを、まるでラスボスのように難しく思っている人がいるが、6)の式を使っているだけ。やってることは単純。難しくないよ。

 

 

そして、この記事を読んでいる皆さんへのアドバイス

 

・公式に当てはめようとする前に、共通因数をくくり出せないか必ずチェックしよう。

 共通因数をくくり出せば、残りの部分の係数がシンプルになり見通しがよくなります。さらに、たすき掛け不要の問題に気付くことができます。

 例えば、 7x^2+21x+14 をみると稀にたすき掛けしたくなる人がいるらしいですが共通因数をくくり出して 7(x^2+3x+2) とするとほら。不要なことが分かりますよね。

 

・式を降べきの順に整理しよう

 今まで学んだ公式を思い出してください。因数分解の2)から6)もそうですが、基本的にxとかaの降べきの順に並んでいますよね。よって目の前にある因数分解したい式も、見慣れた降べきの順にしておいた方がどのテクニックを使うか一目瞭然だし、ミスも減ると思います。 

 

 

 

さて、頭の中は整理できましたか?

「なんだ、要するにこれだけか。」と思ってもらえれば嬉しいです。

 

この単元で学んだ計算は大学受験で当たり前のように、道具として使いまくります。

大学受験の難しめの問題では1問を約20分で解き切ることが要求されます。初めて目にする難問を前に、計算で15分使ってしまうと考える時間は5分しか残りません。うーん、ちょっと厳しくない...?

今、ここで展開・因数分解を頑張っておけば将来の自分に考える時間をプレゼントできるわけです。計算力は数学の基礎体力。#stayhome のおうち時間を利用してスピード正確さに磨きをかけ、ライバルに差をつけよう!

 

 

#21 同じものを含む順列

 お久しぶりです、医学生Gです。 長らく投稿できず、すみませんでした。 また、少しずつ記事を投稿しますのでよろしくお願いします。

 

今回は同じものを含む順列のお話です。例えば"AAABBCD"の7文字を並び替えるとき、場合の数は7!を3!と2!で割ったものになりますよね。なぜ"〇! (階乗)"で割るのかというのを簡単に説明していこうかと思います。よくわからないけどとりあえず割ってる人ともいると思いますので、そんな人はぜひ今回の記事を読んで理解を深めていってください。このことに関しては2)~4)の3つのパターンで説明してみますので、理解しやすいものを探してみてください。

 

 

1)【復習】積の法則

これからの説明を理解していくうえで必須のものです。積の法則とは、つぎのような当たり前のことを指します。

 

基本的にある事象Aの起こり方がa通りあった時に、その各々に対して事象Bがb通りある場合、場合の数はa×bになります(積の法則)。

 

例えば一枚のコインを2回投げ、そのときにでる表裏のパターンを考えると

一回めが表か裏の2通り、二回目も表か裏の2通りで、積の法則により2×2で4通りとなります。実際にパターンをあげてみると、一回目二回目の順に 

表表 表裏 裏表 裏裏

の4通りとなっています。

 

 ↓(参考)積の法則を表で考える

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2) 図を用いて説明

 まずは〇〇□□の並び替えを考えてみましょう。

実際に描いてみると

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 上図のように〇〇□□つの並び替えは6通りになります。もし、〇、□の中身が区別されるもの(①、②、□1、□2 など)ならば、この6通りのうえにさらに積の法則で〇、□の並び替えを2通りずつ考えるので 6×2!×2! となりますよね。

 

つまり、〇、□の中身が区別されるなら6×2!×2!通り、〇、□が区別されないなら2!×2!が不要なので、6×2!×2!から2!×2!をとってあげた6通りになります。この区別の有無と式の関係性を1)を通して理解してもらえると嬉しいです。2!×2!を取るためには割らないと消せないですよね。これが、階乗で割るという操作にあたるのです。

 

 では、AAABBCDの場合はどうでしょうか。まず、A3つ、B2つの中身を区別しておいて、異なる7つのものの並び替えで7! 。でも実際はA3つ,B2つの中身の区別は必要ないので考えないので、7!から3!×2!をなくす必要があります。そのため7!を3!×2!で割ったもの\frac{7!}{3!\cdot2!}が求める場合の数になります。

 

 

3) 言葉で

 AAABBCDを並び替える。AAABBCDを並び替える時、もしAとBがそれぞれ違うものだったら、並び替えはただ単に7!になりますよね。

 この7!の中ではA3つ、B2つは区別しなくてもいいのに、区別してしまっているため、場合の数が本来よりも大きくなっています。このとき、A3つ、B2つの内部の並び替えである3!×2!ぶんのパターンが過剰にカウントされている状態なので、これを解除するために7!を3!×2!で割る必要があるのです。

 

 

4)_nC_rの書き下しを用いた考え方

コンビネーション(_nC_r)しっかりと理解できている人なら、この考え方で機械的に理解できるかと思います。

 

 _nC_r=\displaystyle\frac{n(n-1)(n-2)\cdots(n-r+1)}{r!}=\frac{n!}{(n-r)!\cdot r!}

 

これを用いて考えましょう。

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 上図のように7つの○の中にABCDを入れていきましょう。Aが入るところは7つのうちの3つ選ぶので、_7C_3通り、Bが入るところは残り4つから2つ選ぶので_4C_2通り、Cは残り2つから1つ選ぶので_2C_1、Dは残った1つになります。

よって求める場合の数は

\displaystyle _7C_3×_4C_2×_2C_1=\frac{7!}{\not4!\cdot 3!}\cdot \frac{\not4!}{2!\cdot \not2!}\cdot\frac{\not2!}{1!\cdot 1!}

 

整理すると

\frac{7!}{3!\cdot2!}

 

2)3)の答えと一致しましたね。

多少、式が長くなりますがこの方法でも答えを出すことができます。

 

 

 

 今回は同じものを含む順列ではなぜ"〇!(階乗)"で割るのかということを説明しました。"同じものを含む"というキーワードから"区別をなくす"考えができるようになることが大事かと思います。この記事を読んで同じものを含む順列をしっかりと理解しましょう。(この分野って言葉で説明するのが本当に難しいな... 分かりにくかったらごめんなさい...)

#20 ユークリッドの互除法と連分数

 こんにちは、医学生Gです。今回はタイトル通りユークリッドの互除法について説明していきたいと思います。ユークリッドの互除法は習ったときはわかった気になっても、時間が経ってしまったら忘れてしまう人も多いかと思います。

あ、ちなみにこの方がEuclidさんです。

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Wikipediaから拝借しました。Euclid statue(@Oxford University)

紀元前を生きた天才数学者で、特に幾何学・力学(物理)においてはEuclidさんが全ての基礎を作ったといっても過言ではないでしょう。

 

それでは誰が作ったのかも分かりましたし、ユークリッドの互除法(Euclid's algorithm)についてしっかりと学んでいきましょう!

 

 

1)最大公約数どうやって求める?(ユークリッドの互除法)

 最大公約数を求めるときはユークリッドの互除法を使います。やってることは単純で、ただ割り切れるまで割り算をするだけです。

 

例)2400と440の最大公約数を求める

③2400=440×5+200       (2400÷440=5 あまり 200)

②440=200×2+40          (440÷200=2 あまり40)

①200=40×5                  (200÷40=5)←ワリキレタ!

 

割り切れた最後の商である40が最大公約数です。

 

このことを図で考えてみましょう!

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③2400は440と200で作ることができる。

②440は200と40で作ることができる。

①200は40で作ることができる。

 (丸がついた番号は先ほどの割り算の番号に対応しています。)

 

 つまり、200は40で割り切れるし、200と40から作られる440も40で割り切れます。そして最後に440と200から作られる2400も40で割り切れることになります。

 

 よって、2400と440の最大公約数は40となります。
 

 

 

2)連分数を用いた最大公約数の求め方

実際に行う計算は1)と全く同じですが、こんな形でも考えられるよ という参考程度にご覧ください。

 

例)2400と440の最大公約数を求める

 

割り切れるまで下のように分子が1の正則連分数を作っていきます。

  ※正則連分数とは連分数のうち、分子が全て1になるもののことです。

 

\displaystyle\frac{440}{2400}=\frac{1}{\frac{2400}{440}}=\frac{1}{5+\frac{200}{440}}

=\displaystyle\frac{1}{5+\frac{1}{\frac{440}{200}}}=\frac{1}{5+\frac{1}{2+\frac{40}{200}}}

\displaystyle\frac{1}{5+\frac{1}{\frac{1}{2+\frac{1}{\frac{200}{40}}}}}=\frac{1}{5+\frac{1}{2+\frac{1}{5}}}

 

小さくて見にくいですが①の最後で\frac{200}{40}=\frac{1}{5}と割り切れたのでストップ!!

この割り切れる直前の分母が最大公約数になります。

 

1)の図と照らし合わせると繋がるかもしれませんね。約分するときは連分数を用いると半分遊びみたいで面白いです。

 

ちなみに正則連分数を経由すると、分母と分子の公約数が分かりにくい分数でも確実に約分することができます。

\frac{440}{2400}を約分すると...

\displaystyle\frac{440}{2400}=\frac{1}{5+\frac{1}{2+\frac{1}{5}}}=\frac{1}{5+\frac{5}{10+1}}=\frac{1}{5+\frac{5}{11}}=\frac{11}{55+5}=\frac{11}{60}

 ※このテクニックを必要とする問題が数検で出題されたことがあるらしいです。

 

 

 3)不定方程式への応用

整数の単元でよく見る問題ですよね。ユークリッドの互助法の、最大の活躍の場かもしれません。

1613x-504y=3を例に解いていきましょう。

 

 やり方としては(x,y)の組を1つ見つければ解けます。でも、実際はパッと見て見つからない方が多いと思いますので、その時に使うのが互除法です。

 

 下のように余りの部分にBやらCやらと新キャラが出てきますので、この新キャラが出る順番に注目すると後で楽になります。

一見ややこしく見えるかもしれませんが、焦らずゆっくり確認してみてください。

 

では実際に新キャラに注目しながら互除法をやっていきます。

 

1613(\cdots A)=504(\cdots B)×3+101(\cdots C)

504(\cdots B)=101(\cdots C)×4+100(\cdots D)

101(\cdots C)=100(\cdots D)×1+1

 

つまり、

101(\cdots C)-100(\cdots D)×1=1

 

ここから、1番新しいキャラを1つずつ古いキャラに交換していきます。

まず②を用いて1番新しい新キャラであるDをBとCで表します。

101(\cdots C)-(504(\cdots B)-101(\cdots C)×4)×1=1

Cをまとめます。

101(\cdots C)×5-(504(\cdots B)×1=1

 

次に、①を用いて⑤のCをAとBで表します。

(1613(\cdots A)-504(\cdots B)×3)×5-(504(\cdots B)×1=1

Bをまとめます。

(1613(\cdots A)×5-504(\cdots B)×16=1

 

これで式がAとBだけになったので終わりです。

ここまできたら、あとはウイニングランですね。

 

まだ「=1」ですので、「=3」にするために⑥の両辺を3倍します。

1613×15-504×48=3

 

 1613x-504y=3から⑦を引きます。

 

1613x-504y-(1613×15-504×48)=3-3

整理すると

1613(x-15)-504(y-48)=0

 

ここで1613と504は互いに素なので、整数kを用いて

x-15=504k

y-48=1613k

 

よって答えは

\begin{cases}x=504k+15\\y=1613k+48\end{cases}\ (kは任意の整数)

 

 注意する点としてはkが自然数とか実数ではなく整数であるという点と、文字はx,yを別々の文字で表すのではなく必ず1つの文字(今回はk)で表すということです。

 

 

 今回はユークリッドの互除法についての説明と、それを用いる不定方程式の解き方をまとめました。最初にも述べたように忘れやすい単元の1つだと思いますので、この記事を通してしっかり復習してもらいたいと思っています。

 今回の内容は以前出した#15.5の2020年度入試予想問題 でも登場していますので、再度解いてみるのもいいかと思います。この記事を読んで1問でも多くの問題が解けるようにしましょう。

#19 円に内接する四角形の 公式・小技 シリーズ

 こんにちは、医学生Gです。前回は三角形の面積公式シリーズを投稿しましたが、お役に立ちましたか?今回はタイトル通り円に内接する四角形シリーズを紹介しますの。1)~5)までありますので、早速みていきましょう。

 

 

1)対角の和は180°

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 円に内接する四角形の対角線を挟んで向かいあう角の和は180°である。上図参考にしてもらうと、α+β=180°ということです。

これにより、四角形の内角が1つわかったら、向かいあうもう1つもわかります。また、自分でθと置いてあげるともう1つの角度が180°-θとなり、これにより正弦余弦定理を使うことにより問題が解けたりもします。基本的な性質ではありますが、とても重要です。

 

 

2)ブラーマグプタの公式

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 上図のように円に内接する四角形があって角度はわからないが、四角形の全ての辺の長さがわかっている時に面積を以下のように求めることができます。

 

S=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}

※   \displaystyle s=\frac{a+b+c+d}{2}

ヘロンの公式に似ていますので一緒に覚えるといいと思います。ちなみにヘロンの公式は#18 三角形の面積公式シリーズで紹介しました。

 

 この公式を知っていると円に内接する四角形のみではありますが、四角形の面積を一撃で求めることができます。面積がわかれば角度も求めることができるので覚えておくといいでしょう。

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ちなみにですが、角度の求め方は上図のように1つの角度を自分でθと置いて求めます。

 四角形の面積=\frac{1}{2}ab\sinθ+\frac{1}{2}cd\sin(180°-θ)

                       =\frac{1}{2}ab\sinθ+\frac{1}{2}cd\sinθ

 

これで計算すればsinθの値が出てきます。

 

 

 

3)知っていると役立つ小技その1

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上図のように普通の四角形があるとします。△ABDの面積をS_1、△CBDをS_2とすると以下のことが成り立ちます。

 

S_1:S_2

=h_1:h_2

=x:y

 

上下の三角形の底辺は共通ですので面積比は高さの比と同じになります。

 

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さらに上図のように斜線を引いた2つの三角形は相似な三角形であるので

h_1:h_2

=x:y

となり、xとyが面積比とも同じになります。

 

 

 

4)知っていると役立つ小技その2

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今度は円に内接している四角形の話をします。上図のような四角形があるとします。三角形ABDの面積をS_1、三角形CBDの面積をS_2とすると以下のことが言えます。

 

S_1:S_2

=h_1:h_2

=x:y

=\underline{ab:cd}

 

S_1:S_2=h_1:h_2=x:yまでは3)と同じです。円に内接していると面積比がaとb、cとdの積の比で求めることができます。

 

なぜそうなるかを説明していきたいと思います。

そんな難しい話ではありませんので、さっと読んでみてください(笑)

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上図のようにαとおくと1)より対角は180°-αとおくことができます。すると面積は

\displaystyle S_1=\frac{1}{2}ab\sinα

\displaystyle S_2=\frac{1}{2}cd\sin(180°-α)=\frac{1}{2}cd\sinα

 

すると

S_1:S_2

=\displaystyle \frac{1}{2}ab\sinα:\frac{1}{2}cd\sinα

=ab:cd

となります。

これと5)を組み合わせると

S_1:S_2

=h_1:h_2

=x:y

=\underline{ab:cd}

となりますね。

 

個人的には\underline{ab:cd=x:y}を覚えておきさえすれば簡単に比の問題が解けるのがあったので、最低でもこれだけは覚えておきましょう。

 

 

 

5)トレミーの定理

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上図のような円に内接する四角形があるとします。すると以下のことが成り立ちます。

AC\cdot BD=AB\cdot CD+BC\cdot DA

 

証明は補助線をひきますのでちょっと大変ですけど、見る元気のある方は読んでみてください。でも補助線1本だけでイケちゃうところがすごいですよね 笑

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証)対角線AC上に\angle{DBA}=\angle{CBE}を満たす点Eをとると、

\angle{ADB}=\angle{ECB}(※円周角)をあわせて、

△ABD∽△EBC

よって

DA:BD=EC:BC

DA\cdot BC=BD\cdot EC\cdots

 

また,同じく\angle{ABD}=\angle{EBC} より

\angle{ABD}+\angle{FBE}=\angle{EBC}+\angle{FBE}

よって\angle{ABE}=\angle{DBC}

\angle{BAE}=\angle{BDC}(※円周角)をあわせて、

△ABE∽△DBC 

よって

AB:AE=DB:DC

AB\cdot CD=BD\cdot AE\cdots

 

①+②より

AB\cdot CD+DA\cdot BC=BD\cdot AE+BD\cdot EC

                                         =BD\cdot (AE+EC)

                                         =BD\cdot AE

 以上より

AC\cdot BD=AB\cdot CD+BC\cdot DA

                      (証明終)

 

 

 

 今回は基本的なものから知っておくと役に立つ性質、公式、定理を説明しました。2013年のセンター試験の第3問ではたしかトレミーの定理が使えたような気がします。

頻出とは言えないかもしれませんが、必要な時にはちゃんと思い出せるようにしっかりと覚えておきましょう。

#18 受験で使える!三角形の面積公式シリーズ

 こんにちは、医学生Gです。昼夜の温度変化が激しい季節になってきましたので、体調面には十分気をつけてくださいね。

今回は三角形の面積公式を色々な単元からかき集めて並べてみました。一覧にしてみることで、「どんな時に使うと便利か」というような各公式の性格も見えてきますよね。それではリズムよくサクサクとみていきましょう!

 

1)基本の三角形の面積

 

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上図のように△ABCがあり、点Aから辺BCに下ろした垂線の長さをh、辺BCの長さをaとする。

その時、三角形の面積Sは

 

S=\frac{1}{2}ah と表すことができます。

小学生で習う 底辺×高さ÷2 ですね。

 

 

2)三角比を使った面積公式

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上図のようにCB=a、CA=b、∠BCA=θ とすると

面積Sは

S=\frac{1}{2}ab\sinθ

これは三角比の単元で習います。

二辺とその間の角がわかっている場合はこの公式で一撃ですね。

 

 

3)ヘロンの公式

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AB=c、BC=a、CA=bとすると

面積Sは

 

S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}

s=\frac{a+b+c}{2}

 

 このヘロンの公式は三角形の高さとか三角形の1つの角度を出さずに3辺の長さだけわかっていれば面積を出すことができます。面積を求めてから2)の公式を利用してsinを求めることもできますので、覚えていない人はしっかりと頭に入れておきましょう。

 

 

4)内接円の半径を使った面積公式

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AB=c、BC=a、CA=b、内接円の半径をrとすると

面積Sは

 

S=\frac{1}{2}r(a+b+c)

 

 この面積公式は三角比の問題で登場しがちです。センター試験でも図形の問題ででてきますね。「面積を求めよ」ではなく、「内接円の半径を求よ」という問題でもこの公式が有効です。

 

 

5) 2)の面積公式を少し変形させたもの

正弦定理より

 \frac{c}{\sinθ}=2R   ※Rは△ABCの外接円の半径

\sinθ=\frac{c}{2R}

ですのでこれを2)の面積公式

 S=\frac{1}{2}ab\sinθ

 に代入すると、

 S=\frac{abc}{4R}

となります。 

 

 この公式は三角形の3辺の長さと外接円の半径さえわかっていれば三角形の面積を求めることができます。まぁ、3辺の長さがわかっているのでヘロンの公式でも求めることができます。

 

 

 6)ベクトルを使った面積公式

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上図のように△OABがあり、\vec{OA}=\vec{a}\vec{OB}=\vec{b}とする。

すると2)の面積公式より、

S=\displaystyle\frac{1}{2}|\vec{a}||\vec{b}|\sinθ

\sinθ=\sqrt{1-\cos^2θ}より

S=\displaystyle\frac{1}{2}|\vec{a}||\vec{b}|\sqrt{1-\cos^2θ}\cdots①

ここで内積を利用してまた式変形します。

\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cosθ

\displaystyle\cosθ=\frac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}

このcosθを①の式に代入します。

すると

\displaystyle{S=\frac{1}{2}|\vec{a}||\vec{b}|\sqrt{1-{\left(\frac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}\right)}^2}}

 

\underline{S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{{|\vec{a}|}^2{|\vec{b}|}^2-{(\vec{a}\cdot\vec{b})}^2}}

 

 

 7)ベクトルを使った面積公式 成分バージョン

\vec{a}=(x_1,y_1)\vec{b}=(x_2,y_2)とし、6)の面積公式に代入して整理していきましょう。

S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{({x_1}^2+{y_1}^2)({x_2}^2+{y_2}^2)-{(x_1x_2+y_1y_2)}^2}

 S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{{x_1}^2{y_2}^2-2x_1x_2y_1y_2+{y_1}^2{x_2}^2}

S=\displaystyle\frac{1}{2}\sqrt{{(x_1y_2-y_1x_2)}^2}

\underline{S=\displaystyle\frac{1}{2}|x_1y_2-y_1x_2|}

 

 この公式はベクトルの問題に限らず、三角形の各頂点の座標がわかっていればすぐに面積を求めることができます。とても使いやすい公式ですので積極的に使ってみてください。

 

 

IA IIBの範囲で登場する面積公式はざっとこんなものかなと思います。特にマーク試験は短時間で答えの数値を出すことが求められるので、色々な公式を知っておいて状況に応じてベストな公式を使えるようになると良いでしょう。この記事を読んで数学の点数を少しでも伸ばしていきましょう。