医学生Gの数学ノート

スキマ時間で読める数学の記事を数学塾講師経験のあるメンバーがお届けします!

#15 加法定理 その2 遊んで加法定理を理解しよう!

 前回、加法定理を単位円で証明しましたけれども、ちゃんと理解できましたか?

今回は加法定理を長方形を使って証明しようと思います。

角度が限定されてしまうため、完璧な証明とは言えないのですが、遊びだと思って付き合ってください。

 後半は#13でやった90°+θを加法定理を使って実際に出してみようと思いますので、最後まで読んでみてください。

 

 

1)長方形を使ったお遊び!

 加法定理、長方形を使って証明する方法を知ってましたか。結構面白いですのでみていきましょう。

 

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 ちょっと斜めになってしまって申し訳ないんですが、上図のように点Cを点Gのところまで長方形を折り曲げます。そしてBF=1、\angle{GBF}=α\angle{GBA}=βと設定します。

 

 こうすると\angle{FBA}=α+βになります。ここで上図の赤い三角形である△FBEに注目してください。BF=1ですので、sin、cosを取るとEF=sin(α+β)、EB=cos(α+β)になりますね。

 

 とりあえず、sin(α+β)がEFの長さ、cos(α+β)がEBの長さなのを覚えておいてください。以下はこのEF、EBの長さをα、βを用いて求めていきます。

 

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  次に、注目する三角形を変えましょう。上の図の青い三角形である△GBFに注目しましょう。

\angle{GBF}=αでBF=1ですので、△GBFで同じようにsin、cosを取るとGF=sinα、GB=cosαになります。

 

 

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 GF=sinα、GB=cosαを前の画像のところで求めました。

そしたら、まずはGF=sinαを含む三角形から見ていきましょう。

 

 GFを含む三角形は△GFDで上の図の右上の緑色の三角形です。

上図のように\angle{AGB}=90°-β\angle{BGF}=90°ですので、

90°-β+90°+\angle{FGD}=180°

\angle{FGD}=βになります。

 

そうするとGF=sinαだから残りの辺の長さGD=sinαcosβDF=sinαsinβになりますね。

 この2辺は最初のEF、EBを求めるのに必要です。

 

 

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次に、GB=cosαを含む三角形であるGBAについて見てみよう。

GB=cosα、 \angle{GBA}=βですので、これも残りの辺の長さを求めていきましょう。これも、sin、cosを取るとAG=cosαsinβAB=cosαcosβになりますね。

 

 この2辺もEF、EBの辺を求めるのに必要です。

 

ここまでの話は理解できましたか?そしたら今まで求めてきた辺を使ってsin(α+β)、cos(α+β)であるEF、EBを求めていきましょう。

 

 

 

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上の図を参考にして見ていきましょう。

EFの長さは長方形の上辺であるAGGDを足した長さですね。また、EBの長さはABからAE(=DF)を引いた長さに一致しますね。これを実際に長さを代入して求めていきます。

すると、

EF=sin(α+β)=AG+GD=cosαsinβ+sinαcosβ

EB=cos(α+β)=AB-DF=cosαcosβ-sinαsinβ

 

 出てきましたね、sin(α+β)、cos(α+β)が。こんな感じで長方形を用いて加法定理を導出することができます。

 

 最初にも言いましたが、この求め方は角度が限定されているため、証明には使えませんが、雑学として覚えておくといいかなと思います。

 

 

2)加法定理を使って90°+θのやつを求める

 #13でやった90°+θのやつを実際に加法定理を用いてsin(90°+θ)cos(90°+θ)を求めてみましょう。

 

sin(α+β)=cosαsinβ+sinαcosβ

cos(α+β)=cosαcosβ-sinαsinβ

 

実際にα=90°、β=θを代入してやってみましょう。

 

sin(90°+θ)

=cos90°sinθ+sin90°cosθ

=cosθ

*cos90°=0、sin90°=1

 

cos(90°+θ)

=cos90°cosθ-sin90°sinθ

=-sinθ

 

 図を描くのが苦手な人は加法定理を使って求めるのもいいと思います。sin、cosのどちらかが0になりますので、簡単に求めることができます。ちなみに私は加法定理で頭の中でやってました(笑)。

 

 

 今回は長方形を使った加法定理の証明と実際に加法定理を使ってsin(90°+θ)、cos(90°+θ)を求めてみました。長方形の方はお遊びですので、加法定理の証明問題がでてきたら書かないように気をつけましょう。まぁ、もし単位円が思いつかなかったら書いてみるのもアリだとは思いますが(笑)。90°+θのやつは図を書いてもよし、加法定理で求めてもよしですので、自分に合う方法でやるのがいいと思います。今回の記事を読んで数学をより深く理解してもらえると嬉しいです。

いろんな考え方を知っておくということが難関大数学に立ち向かう上で強みになると思いますよ。(^^) 

#14 加法定理登場! その1

 おはようございますこんばんは、医学生Gです。みなさん、加法定理はもう学校で習いましたか?長い式を丸暗記しなくてはならない…と思うと辛くなりますよね。今回は加法定理を単位円を使って証明する方法を紹介していきたいと思いますので、1)~2)まで読んでみてください。

 

1)加法定理

 まず、加法定理の確認から。

 

\sin(α+β)=\sinα\cosβ+\cosα\sinβ

\sin(α-β)=\sinα\cosβ-\cosα\sinβ

\cos(α+β)=\cosα\cosβ-\sinα\sinβ

\cos(α-β)=\cosα\cosβ+\sinα\sinβ

式の真ん中の符号はプラマイマイプラで覚えよう!

\displaystyle\tan(α+β)=\frac{\tanα+\tanβ}{1-\tanα\tanβ}

覚え方は”イチマイタンタンタンプラタン”グラタンみたいで美味しそうですね(笑)

\displaystyle\tan(α-β)=\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα\tanβ}

 

ちなみに、tan(α+β)、tan(α-β)の式の真ん中の符号も上からプラマイマイプラになっていますね。

 

 

 

2)単位円での証明

  これは実際に東大の入試問題として出題されたこともあります。基本をしっかり押さえよ という東大からのメッセージですね。(1)〜(5)まであります。

(1)cos(α+β)

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  上図のように点と角度を設定します。

A(1,0)、B(\cosα,\sinα)、C(\cos(α+β),\sin(α+β))、

D(\cos(-β),\sin(-β))=(\cosβ,-\sinβ)、*β1=β

 

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 上図のように、補助線を引くと三角形が2つできますね。
 ここで、△AOCと△BODは、2辺とその間の角が等しいため△AOC≡△BODであると言えます。

CA=BDなので各点の座標を用いて以下のように立式すると、

(CA)^2=(BD)^2より

\{1-\cos(α+β)\}^2+\sin^2(α+β)=(\cosα-\cosβ)^2+(\sinα+\sinβ)^2

 

展開すると、

1-2\cos(α+β)+\cos^2(α+β)+\sin^2(α+β)

=\cos^2α-2\cosα\cosβ+\cos^2β+\sin^2α+2\sinα\sinβ+\sin^2β

 

\sin^2+\cos^2=1より

 

1-2\cos(α+β)+1=1+1-2\cosα\cosβ+2\sinα\sinβ   

 

式を整理します。

-2\cos(α+β)=-2\cosα\cosβ+2\sinα\sinβ  

 

 全体を-2で割りると

 \underline{\cos(α+β)=\cosα\cosβ-\sinα\sinβ}

 

これで\cos(α+β)の証明が終わりました。

 

以下の(2)〜(4)cos(α+β)をベースに考えますので、最低でも(1)はしっかりと覚えておきましょう。

 

 

 

(2)cos(α-β)

 \cos(α-β)の証明はβに変えるだけです。

\cos(α-β)

=\cosα\cos(-β)-\sinα\sin(-β)

=\cosα\cosβ+\sinα\sinβ

 

\underline{\cos(α-β)=\cosα\cosβ+\sinα\sinβ}

 

 

 

(3)sin(α+β)

ここから\sin(α+β)の証明をしたいと思います。

 

 以前の記事#13で説明した90°+θのθを-θに変えただけである90°-θを利用すると、cosをsinに変えることができます。     

*cos(90°-θ)=sinθ

 

これを利用すると

\sin(α+β)

=\cos \{90°-(α+β)\}

 

ここで90°-(α+β)を(90°-α)と-βに分けます

=\cos \{(90°-α)-β)\}  

=\cos(90°-α)\cosβ+\sin(90°-α)\sinβ

=\sinα\cosβ+\cosα\sinβ

 

\underline{\sin(α+β)=\sinα\cosβ+\cosα\sinβ}

 

これで\sin(α+β)の証明は終わりです。

 

 

 

(4) sin(α-β)

\sin(α-β)は \cos(α-β)の時と同じでβに変えます。

すると、

 

\sin(α-β)

=\sinα\cos(-β)+\cosα\sin(-β)

=\sinα\cosβ-\cosα\sinβ

 

\underline{\sin(α-β)=\sinα\cosβ-\cosα\sinβ}

 

 

 

 (5)tan(α+β)、tan(α-β)

 tan(α+β)、 tan(α-β)は\underline {\tanθ= \frac{ \sinθ}{ \cosθ}}を利用して求めます。

 

 \tan(α+β)

= \displaystyle\frac{ \sin(α+β)}{ \cos(α+β)}

 =\displaystyle\frac{\sinα\cosβ+\cosα\sinβ}{\cosα\cosβ-\sinα\sinβ}

ここで、分母分子をcosαcosβで割ります。

すると、

=\displaystyle\frac{ \frac{\sinα}{\cosα}+\frac{\sinβ}{\cosβ}}{1-\frac{\sinα\sinβ}{\cosα\cosβ}}

 

\tanθ= \frac{ \sinθ}{ \cosθ}を利用して整理すると、

\underline{\displaystyle\tan(α+β)=\frac{\tanα+\tanβ}{1-\tanα\tanβ}}

 

 \tan(α-β)

= \displaystyle\frac{ \sin(α-β)}{ \cos(α-β)}

 =\displaystyle\frac{\sinα\cosβ-\cosα\sinβ}{\cosα\cosβ+\sinα\sinβ}

これも分母分子をcosαcosβで割ります。

すると、

=\displaystyle\frac{\frac{\sinα}{\cosα}-\frac{\sinβ}{\cosβ}}{1+\frac{\sinα\sinβ}{\cosα\cosβ}}

 また\tanθ= \frac{ \sinθ}{ \cosθ}を利用して整理しましょう!

\underline{\displaystyle\tan(α-β)=\frac{\tanα-\tanβ}{1+\tanα\tanβ}}

 

 長々となりましたが、これで全ての加法定理の証明が終わりましたね。

 

 加法定理の証明はまず単位円を用いてベースである\cos(α+β)を求めてから、残り3つをこんな感じで証明しますので、一度はしっかりと理解してください。最低でも(1)はできるようにしましょう。東大が以前出しているので、もしかしたらあなたが受ける大学の入試問題で出るかもですよ?(笑)

 

 次回の記事は長方形を使った、直感的に分かりやすい加法定理の説明をしますので、ぜひそちらも読んでみてください。今回の記事で加法定理の証明はしっかりと覚えておきましょう。

 

 

 

 

#13.5 tanのグラフはなぜ途切れるのか

最近、とある勉強熱心な方から

「tanのグラフはなぜ途切れるのか。

     tan90°についてどのように理解しておけば良いのか。」

という質問をいただきましたのでその回答をこの場で共有しておこうと思います。

 

1)三角関数の定義

まず大前提として今回の回答にあたっては、三角関数の定義は単位円を用いたものとします。

直角三角形を用いた定義では0<θ<90°の範囲に限られているのでθが90°になる瞬間について考えることができませんからね。

以下、記事#11の復習になりますが

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上の図において(1,0)を点A、単位円周上の点を点Pとし、\angle{AOP}=\theta と定めた時の点Pの座標を(sinθ,cosθ)とします。sin,cosを点Pの座標として定義することにより0<θ<90°の制限がなくなり、回し放題になるのでした。覚えていますか?

ここで、tan\theta=\frac{sin\theta}{cos\theta}ですが、直線OPの傾きも同じく\frac{sin\theta}{cos\theta}の値をとりますので、tanθは直線OPの傾きといえます。

 

 

2)傾きの定義から考える

 さて、 1) で「tanθは傾き」と述べましたが傾きの定義は覚えていますか?

中学で学ぶ内容ですが

(傾き)=\frac{(yの増加量)}{(xの増加量)}   というやつです。

一次函数 y=ax+bのaの部分が、傾きの値になっているんでしたよね。

 例えば次の図のような場合には

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傾きは \frac{(yの増加量)}{(xの増加量)}\quad=\frac{0.8}{0.6}=\frac{4}{3} となります。


このように、”xの増加量”と”yの増加量”のふたつの値から傾きを計算できるわけですが、θが90°となる場合はどうでしょうか。次の図のような状態になっていますね。

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 気づきましたか?困りますよね。

 (傾き)=\frac{(yの増加量)}{(xの増加量)}    を計算しようとしても、xの増加量というやつがないんです。分母に入れる数字がない!困った!!

2点P,Oの間にx座標の差が少しでもあれば計算できるのですが、今回のように直線OPが完全な縦線になる場合にのみ、傾きは計算不能となります。

よってこのようなy軸と平行な直線(縦線)に対して、傾きは定義できないのです。「こーゆー縦線のとき、傾きは計算しないの! (怒)」という約束になっているのですね。

 

ここまでのまとめ

θ=90°のとき、傾きは無し(定義外)。 そのためtanθの値もなし。

値なしの部分があるため、tanのグラフは途切れるのです。(下図)

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この説明で納得していただけたでしょうか?

納得できた方はここまでで終わってもらってオッケーです。

でも勘のいい人なら「xの増加量を0にして傾きの計算を強行すれば良い」と考えることでしょう。そんな方への説明をこれからしていきます。

少し踏み込んで、「極限」の考え方が登場します。準備はいいですか?

 

 

3)極限を用いた考え方

xの増加量を0として、計算を強行してみましょう。

O(0,0) P(0,1) ですので

\frac{(yの増加量)}{(xの増加量)}\quad=\frac{1}{0}

分母が0の分数が出てきました。なんだコイツは って感じですよね。

それもそのはず。こんな数字はないんです。0をいくつ合わせても1にはなりませんからね。そこで、極限という考え方で、それっぽい答えを探しにいきます。

\frac{1}{1}をスタートにして分母をどんどん小さくしていき、0に近づけていきます。

\frac{1}{1}=1

\frac{1}{0.1}=\frac{10}{1}=10

\frac{1}{0.01}=\frac{100}{1}=100

\frac{1}{0.001}=\frac{1000}{1}=1000

分母が0に近づくほど数が大きくなっていくのがわかりますか?

このノリで、「分母が0になるときには限りなく大きい数になるのだろう」

と考え、「 ∞:無限大 」という記号を使うわけです。

※実際にtanのグラフをみると、90°手前で曲線がぐんぐん上へ伸びていきます。この部分が限りなく大きい数になっていく様子を表しています。

 

 

では話を戻しましょう。

tan90°=(直線OPの傾き)=\frac{(yの増加量)}{(xの増加量)}\quad=\frac{1}{0}=\infty

で良いでしょうか?

 

答えはNoです。

“傾き\frac{4}{3}”と”傾き∞ “との間で決定的に違うことがあります。 

それは「値が定まっているか」という点です。

ちゃんと目盛りが打ってある数直線上において、\frac{4}{3}という数字は ここ!

と指させるのに対し ∞は無理ですよね。数直線をどこまで延長しても ここ! とは言えないのです。

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 傾きとは直線の状態をを表現する尺度であり、それを用いて他の数値を計算したりします。そんな数値が、数直線上で指させないようなぼんやりとしたものではいけません。よって、tan90°の値は「無し」ということになるのです。

 

tan90°の値が決まらないということをもう少しお話ししましょう。

先ほど分母をどんどん小さくしていってtan90°としたときは分母分子共に正の数でしたから、90°より小さい角度の方から87°,88°,89°…と90°に近づけたわけですが(下図の赤文字)

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青文字のように逆サイド(90°より大きい角度のほう)から90°に近づくこともできるはずです。この場合、傾きは負の数となっていることに注意してください。するとこちら側では93°,92°,91°…と90°に近づくに連れて傾きが限りなく小さな値になっていくのがわかりますか?

式にするとこうなります。

赤: \displaystyle \lim_{\theta\to90°-0}tan(\theta)=\infty

  (訳:θを90°より小さい側から90°に近づけると、tanθは限りなく大きい値になります)

青: \displaystyle \lim_{\theta\to90°+0}tan(\theta)=-\infty  
  (訳:θを90°より大きい側から90°に近づけると、tanθは限りなく小さい値になります)

 

どちらもtan90°の値を求めようとしているのに、片方は∞、もう片方は-∞と真逆の結果になっています。変ですよね。このことからも、tan90°の値は定まらないということを感じてもらえると嬉しいです。

 

 

ついつい話が難しくなってしまいましたが、要するに「tan90°はとてもややこしいので考えないようにしましょう」ということです。

結局そんだけかい!と思うかもしれませんが「なぜ考えないのか」という部分、今回の記事の内容を知っておくことに意味があるのではないかと思う医学生Gでした(^^)

#13 (90°±θ)、(180°±θ)の問題を解く

 こんにちは、医学生Gです。今回の記事はつまずく人が多いと思われる (90°±θ)、(180°±θ)みたいな角度の三角比について話をしていこうかと思います。

 この (90°±θ)、(180°±θ)、知ってる人もいるかとは思いますが、暗記しなくても導くことができるのです。実際暗記の嫌いな私も導いて考えていましたので是非参考にしてみてください。

1)〜4)の例題を通してその手順を説明していきます。

*今回は0)〜4)まであります。図が手書きのため、読みにくかったらすみません。

 

 

 0)単位円の定義の復習

 

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 上の図のような半径1の単位円において、点Aを座標(1,0)、点Pを単位円周上の点で、\angle{POA}=\thetaとして、この時の点Pの座標を(cosθ,sinθ)と定義しましたね。覚えていましたか?以下、これを使ってやりますので記憶が曖昧!って人は#11を確認してください。

 

1)cos(90°-θ)

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 上の図を参考にしながら6つのステップで解いていきましょう。

*点Aの座標を(cosθ,sinθ)としておきますね。

①90°-θの点はどこか

 90°からθを引いた角度の点ですよね。単位円上の点をy軸からθだけ時計回りに動かした点、上図だと点Cのことです。

 

②点Aと先ほど置いた点Cから垂線を下ろして直角三角形を作る

 点Aと点Cから下ろした垂線の足をそれぞれ点B、点Dとすると三角形OABと三角形CODの2つの直角三角形ができましたね。

 

③合同な三角形を見つけよう

 先ほど作った直角三角形は実は合同な三角形であり△OAB≡△CODとなります。

どちらも内角が 90°,θ,(90°-θ) となっています。確認してみてください。

 

④求めたい数値と同じ値となる辺を探す

 今回はcos(90°-θ)の値が知りたいですので点Cのx座標の値と同じになる辺を探してくれば良いのです。(cosはx座標として定義されるんでしたよね。) そうなると辺ODの長さが点Cのx座標の値と一致しますよね。ということは、合同な三角形である△OABにおける辺ABの値とも一致します。

 

⑤ ④で見つけた辺の長さを求める

 辺ODの長さは辺ABの長さと一致しているというのは④でわかりました。辺ABの長さは点Aのy座標の値と一致してますので、AB=sinθ

AB=ODよりOD=sinθ と分かります。

 

⑥ ⑤で見つけた値と今求めようとしている値を一致させる

 今求めたいのはcos(90°-θ)の値、つまり点Cのx座標の値です。④でも書いてる通り点Cのx座標の値は辺ODの長さと一致します。つまり、⑤より cos(90°-θ)=OD=sinθ となります。

 

 長々と①〜⑥まで書きましたが慣れてくると10秒くらいでできますので是非参考にしてください。

 

 

2)sin(180°-θ)

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 上図を参考にして1)と同じことをしていきます。

*点Aの座標を(cosθ,sinθ)としておきますね。

①180°-θの点はどこか

180°-θはx軸からθだけ時計回りに引いた上図の点Cのところになります。

 

②点Aと先ほど置いた点Cから垂線を下ろして直角三角形を作る

 点Aと点Cから下ろした垂線の足をそれぞれ点B、点Dとすると三角形OABと三角形OCDの2つの直角三角形ができましたね。

 

③合同な三角形を見つけよう

 今回の合同な三角形は △OABと△OCD です。

 

④ 今求めたい数値と同じ値となる辺を探す

 今回はsin(180°-θ)の値が知りたいですので点Cのy座標の値と同じになる辺を探してくれば良いのです。そうなると辺CDの長さが点Cのy座標の値と一致しますよね。ということは、合同な三角形である△OABにおける辺ABの値とも一致します。

 

⑤ ④で見つけた辺の長さを求める

 辺CDの長さは辺ABの長さと一致しているというのは④でわかりました。辺ABの長さは点Aのy座標の値と一致してますので、AB=sinθ 

AB=CDよりCD=sinθとなります。

 

⑥ ⑤で見つけた値と今求めようとしている値を一致させる

  今求めたいのはsin(180°-θ)、つまり点Cのy座標の値です。④でも書いてる通り点Cのy座標の値は辺CDの長さと一致します。つまり、⑤よりsin(180°-θ)=CD=sinθになりますね。

 

3)cos(90°+θ)

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 上図を参考にしてまた同じことをいていきます。

*点Aの座標を(cosθ,sinθ)としておきますね。

①90°+θの点はどこか

 90°+θは元の△OABの\angle{AOB}=θに90°だけ足した点です。上図の点Cがそうですね。

 

②点Aと先ほど置いた点Cから垂線を下ろして直角三角形を作る

 点Aと点Cから下ろした垂線の足をそれぞれ点B、点Dとすると三角形OABと三角形OCDの2つの直角三角形ができましたね。

 

③合同な三角形を見つけよう

 今回の合同な三角形は△OABと△COD です。

 

④今求めたい数値と同じ値となる辺を探す

 今回はcos(90°+θ)の値が知りたいですので点Cのx座標の絶対値と同じになる辺を探してくれば良いのです。なぜ今回は絶対値をとるかと言いますと、点Cのx座標の値は今回はマイナスであり、辺の長さにマイナスは存在しないからです。なんとなくわかってもらえればかまいません。すると辺ODの長さが点Cのx座標の絶対値と一致しますよね。ということは、合同な三角形である△OABでいう辺ABの値とも一致します。

 

⑤ ④で見つけた辺の長さを求める

 辺ODの長さは辺ABの長さと一致しているというのは④でわかりました。辺ABの長さは点Aのy座標の値と一致してますので、AB=sinθ、AB=ODよりOD=sinθとなります。

 

⑥ ⑤で見つけた値と今求めようとしている値を一致させる

 今求めたいのはcos(90°+θ)、つまり点Cのx座標の絶対値です。④でも書いてる通り点Cのx座標の値は辺ODの長さと一致します。ただし、cos(90°+θ)の座標は負の値ですのでここでマイナスをつけるのを忘れないようにしましょう。今回は、⑤よりcos(90°+θ)=-OD=-sinθになりますね。

 

 

 0°<θ<180°の範囲だったらsinの方は常に正の値ですので、何も考えずに辺の長さで求めることができますが、cosは90°<θ<180°の範囲は負の値を取りますので、もし最初に置いた点が負のところにあったら最後にマイナスを付け忘れないように注意しましょう。

 

 4)tan(90°-θ)

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 tanはsin、cosと違って座標じゃないからできないじゃん!って思った人いますか?そんな人も心配しなくて大丈夫!ほとんど同じやり方でtanも求めることができます。

 

まず、tanの値は何かと言いますとtanは傾きの大きさです。上図で言いますとtanθの値はOAの傾きと一致します。今回はこれを利用していきます。やる過程はだいたい一緒ですので同じところは軽く飛ばしてもらっても大丈夫です。からちょっと違います。

 

①90°-θの点はどこか

 90°からθを引いた所の点ですよね。単位円上の点をy軸からθだけ時計回りに動かした点、上図だと点Cのことです。

 

②点Aと先ほど置いた点Cから垂線を下ろして直角三角形を作る

 点Aと点Cから下ろした垂線の足をそれぞれ点B、点Dとすると三角形OABと三角形CODの2つの直角三角形ができましたね。

 

③合同な三角形を見つけよう

 先ほど作った直角三角形は実は合同な三角形であり△OAB≡△CODとなります。

 

④今求めたい傾きと同じ値となる辺を探す

 今回はtan(90°-θ)の値が知りたい。tan(90°-θ)は上図のOCの傾きですね。OCの傾き=\frac{DC}{OD}ですので、今回知りたい辺の長さはDCとODの長さです。△OAB≡△CODですので、DC=BO、OD=AB といえますね。

 

⑤ ④で見つけた辺の長さを求める

 辺DCの長さは辺BOと、辺ODの長さは辺ABの長さと一致しているというのは④でわかりました。辺BOの長さは点Aのx座標の値と、辺ABの長さは点Aのy座標の値と一致してますので、BO=cosθ、AB=sinθ、よって DC=cosθ、OD=sinθとなります。

 

⑥ ⑤で見つけた値と今求めようとしている値を一致させる

 今求めたいのはtan(90°-θ)の値であり、それは上図のOCの傾きのこと

よってOCの傾き=\frac{DC}{OD}=\frac{OB}{AB}=\frac{cosθ}{sinθ}=\frac{1}{tanθ}となります。

 

 tanもだいたい同じやり方でできましたね。

 

 tanはもう1つ求め方がありまして、前の記事にも書いたと思いましたが

tanθ=\frac{sinθ}{cosθ}

ですので、例えばtan(90°-θ)の値だったら、

tan(90°-θ)=\frac{sin(90°-θ)}{cos(90°-θ)}=\frac{cosθ}{sinθ}=\frac{1}{tanθ}

と求めることもできます。tanは自分の好きな方で求めると良いかと思います。

 

ここまでで紹介した①〜⑥の手順で例題以外のパターンにも対応できると思います。

 

5)加法定理

図で考えるのが苦手だよー!!勘弁してくれーって思った人もいるかと思います。そんな人は加法定理で解いてしまいましょう。実際私も加法定理でやってた時期がありました。加法定理についての詳しい説明は次の記事で説明しようと思っていますので、すみませんが今回は割愛させてもらいます。

 cos(90°-θ)=cos90°cosθ+sin90°sinθ=0\cdot{cosθ}+1\cdot{sinθ}=sinθ

みたいな感じで解けます。

 

 今回は (90°±θ)、(180°±θ)の話をさせてもらいました。基本は単位円で合同な三角形を使って考えます。元の角度と値を求めたい角度2つの三角形を書いて考えていきましょう。どうしても図が苦手な人は次の記事に説明する加法定理を使っていいと思います。今回の記事を読んで (90°±θ)、(180°±θ)関連の問題を克服してくれると嬉しいです。

 

#12 余弦定理のうんちく

 こんにちは、医学生Gです。中高生は夏休みが始まりウキウキしているところでしょうか。人と差をつけるなら夏休みが勝負ですね!ファイトです(^^)

 

 さてさて、本題の余弦定理の話をはじめようと思います。高校生の初めに習う余弦定理、 a^2=b^2+c^2-2bccosA を暗記した人が多いかと思います。しかし、これは当たり前なことを式にしたもう一つの余弦定理から生まれた第2余弦定理だったのです。

 

 え?もう1つの余弦定理ってなんだよ!って思う方も少なくはないでしょうか。

 今回はそのもう一つの余弦定理である第一余弦定理と、第一余弦定理を用いた第二余弦定理の導き方をまとめました。1)~4)までありますので早速みていきましょう!

 

1)第一余弦定理

 先ほども述べたように第一余弦定理とは当たり前のことを式にしたものです。

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 上の図のような三角形があるとします。それぞれの頂点から対辺に垂線を下ろしてcosを考えることにより、各辺の長さを残りの辺の長さと角度を用いて表します。例として上の図では頂点Cから垂線を下ろしました。このときcをaとbを使って表すと c=a \cosβ+b \cosαとなります。これをa、bについても同じように考えると次のようになります。

\begin{cases}a=b\cosγ+c\cosβ\cdots①\\b=c\cosα+a\cosγ\cdots②\\c=a\cosβ+b\cosα\cdots③\end{cases}

上の式①〜③が第一余弦定理です。

 

 

2)第一余弦定理から第二余弦定理の導く

 さっき作った第一余弦定理①〜③を使っていつも見慣れている余弦定理である第二余弦定理を導きたいと思います。

 

 ①×a-②×b-③×c より

a^2-b^2-c^2=\underline{ab\cosγ}+\underline{ac\cosβ}-bc\cosα-\underline{ba\cosγ}-\underline{ca\cosβ}-cb\cosα

*下線部は消えます

 

整理すると

a^2-b^2-c^2=-2bc\cosα        

b^2c^2を右辺に移行して

a^2=b^2+c^2-2bc\cosα

 

いつものやつが出てきましたね。他の2つ同じやり方ですのでぜひ求めてみてください。

 

3)ベクトルを用いた余弦定理の証明

 ベクトルを使っても余弦定理を導くことができますので紹介します。

ベクトルをまだ知らない人はスルーしてもらってかまいません。

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 上のような三角形があるとします。

{|\vec{CB}|}={|\vec{AB}-\vec{AC}|}

ですので、両辺を二乗して

{|\vec{CB}|}^2={|\vec{AB}-\vec{AC}|}^2

            ={|\vec{AB}|}^2-2(\vec{AB}・\vec{AC})+{|\vec{AC}|}^2

内積の部分をcosが登場する形に書き直すと

            ={|\vec{AB}|}^2+{|\vec{AC}|}^2-2|\vec{AB}||\vec{AC}|\cosα

これより

      a^2=b^2+c^2-2bc\cosα

 

おなじみのやつが出てきましたね。これがベクトルでの証明です。

 

 

4)三平方の定理余弦定理

  ここで、余弦定理と三平方の定理の関係性についてお話ししたいと思います。

 余弦定理をやっていて中学校で習った三平方の定理余弦定理の一部であったということに気づいていましたか?

 

余弦定理 a^2=b^2+c^2-2bc\cosαにおいて、αは0°から180°の間のどんな角度でも大丈夫ですが、ここにα=90°を代入してみてください。

\cos90°=0ですので

a^2=b^2+c^2 となります。

これはまさしく三平方の定理そのものですよね。

 

 すなわち、余弦定理のうちα=90°という特別な場合(直角三角形となる場合)を考えるとそれは三平方の定理なのです。よって余弦定理は三平方の定理を拡張したもの」とも考えることができますね。

 

 

 今回はみなさんが覚える余弦定理を原点から導き出す方法と、その他の余弦定理についてのお話をさせてもらいました。今回の記事で余弦定理について少しでも理解が深まってくれると嬉しいです。

#11 sin、cosの定義が面白い!

 高校1年生で初めてsin、cosを勉強すると、難しい数式扱ってる気分になってワクワクするものですよね。まあ、もしかしたら意味不明なやつが出てきてやりたくないーって思ってしまう人もいるかもしれませんが(笑)

 

 ところでsin、cosの話の序盤は理解できるのに、単位円が出てきた途端「もう無理!」って言う人はいませんか?今回はそんな人に向けた記事です。

 

 今回の要点を先にお伝えすると、sin,cosの定義は段階的に変化するということです。単位円が登場するタイミングで定義が変化するため、そこでつまずく人が多いのです。これをふまえた上で以下の話を読んでみてください。これから順に説明する1)2)の定義は、同じではありません。それでは、どのように変化するかをチェックしてくださいね。

 

1)直角三角形を用いた定義

 sin,cosとの初めての出会い…

数学1の図形と計量の単元ではまず直角三角形を用いた定義が登場します。

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上の図のように直角三角形ABCがあるとします。

\angle{ACB}=\thetaとすると、sin \theta=\frac{c}{b},cos\theta=\frac{a}{b},tan\theta=\frac{c}{a}=\frac{sin \theta}{cos\theta}と定義します。

 

※覚え方

上の図のように筆記体のs、c、tの書き始めの方が分母になり、書き終わりの方が分子になります。

 *sの場合は書き始めが斜辺AC、書き終わりがABですので、sin \theta=\frac{c}{b}です。

 

 この定義では、θを直角三角形の一つの角度として設定していますので、0<\theta<\frac{π}{2}の範囲での定義になります。

 

 しかし、欲張りな人は言いました。「これではθの範囲がせまい。 0<\theta<\frac{π}{2} 範囲外の角度についても、sin、cosの値考えたい」

そんな願いを叶えるために登場するのが次の、単位円による定義なのです。

 

 

2)単位円を用いた定義

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 上の図のような半径1の単位円において、点Aを座標(1,0)、点Pを単位円周上の点で、\angle{POA}=\thetaとして、この時の点Pの座標を(cosθ,sinθ)と定義します。つまりこのとき、sin,cos を辺の比ではなく点Pの座標として定義したわけです。

 

※この時のθは点Pと点Aが重なる時を0として、点Pを反時計回りに移動するとθの値は正の数として増加し、時計回りに動かすとマイナスになります。

 

 この定義ならθは何度まで回すことができますか?

θを二週目、三週目…と回すことによって2πを超える角度だってsin,cosの値が得られます。つまり回し放題!0<\theta<\frac{π}{2}の範囲に限定されず、θはどんなに大きくても、小さくても大丈夫。

 

定義1)では 0<\theta<\frac{π}{2} に限られていたθが、定義2)になると角度の制限がなくなりました。角度θを制限から解放すること。これこそが定義を変える理由なのです。

 

 

 

さて、同じsin cos について1)と2)の異なる定義が登場しましたが、ここからはこれら2つの定義の関係性を見ていきましょう。

定義1)で求めたsin60°の値と定義2)で求めたsin60°の値が違ったりしたら困りますよね?その点をチェックしていきます。

  

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上図のように点Pからx軸に下ろした垂線の足を点Hとします。

 

 単位円を用いた定義2では点Pの座標は(cosθ,sinθ)ですので、OH=cosθ、PH=sinθになりますね。

 

 直角三角形を用いた定義1ではcos\theta=\frac{OH}{OP}=\frac{OH}{1}=OH、 sin\theta=\frac{PH}{OP}=\frac{PH}{1}=PHとなります。

 

 定義1でも定義2でもcosθ=OH、sinθ=PH となっていますので、sin、cosの値は同じと言えます。つまり、0<\theta<\frac{π}{2} の範囲においては定義1)で考えても定義2)で考えてもsin,cosの値は同じになるのです。当たり前に思うかもしれませんが、これはかなり大事なこと。これで、安心して使えますね(^^)

*sin,cosが一致するということは\frac{sinθ}{cosθ}の値をとるtanも一致しています。

 

 

 

 定義の変化に気づかずに定義1のまま単位円に突入してしまうので、わからなくなってしまうのです。単位円が出てくるタイミングでsin,cosは再定義され0<\theta<\frac{π}{2}の制限から解放される。「定義1と定義2は違う」ということを理解してもらえましたか?

 

*ちなみに大学レベルではθをさらに複素数の範囲まで解放するため、また別の定義が追加されます。

 

 三角関数マスターになるための第一歩として、sin,cosの定義をしっかりと理解してもらえると嬉しいです。

 

#10 因数分解の基礎 part2

 今回の記事は前回に引き続き因数分解のお話をしていこうと思います。今回はより難しい因数分解を行う際のポイントをいくつか紹介していますので、3)〜5)をしっかりと読み込んでもらえると嬉しいです。それでは見ていきましょう。

 

3)困った時の打開策

  #9の 2)因数分解の基本的な手順 で上手くいかない場合に、a^2-b^2の形を目指して無理やり二乗を作ることによって解決する場合がありますので、その例とともに説明します。

 

例)x^4+4            

 

「これどうやって因数分解するんだろう」って思いませんか?

 

 こんな時に先ほど説明したa^2-b^2の形を目指して無理やり二乗を作る方法をやってみます。

 

x^4+4=(x^4+4x^2+4)-4x^2  

2乗を作るのに足りなかった 4x^2を補い、後ろで調整します。計算したら元の式に戻るように調整してくださ。

 

すると、

x^4+4=(x^4+4x^2+4)-4x^2

          ={(x^2+2)}^2-{(2x^2)}^2=(x^2+2x+2)(x^2-2x+2)

 

 上のようにa^2-b^2が作れたら、あとはa^2-b^2因数分解をして終わりです。

 

 

 4)対称性のある式の扱い

 #9の 2)④で降べきの順に並べるとき、どの文字について降べきの順で並べるべきかをあらかじめ決めておきましょう。今回はaについての降べきの順にしてやっています。

あまりに対称的な式だとどの文字にするか迷ってしまうかもしれませんが、どれでもいいんです。1文字選んでそれに注目することが重要です。

例)a{(b-a)}^2+b{(c-a)}^2+c{(a-b)}^2+8abc

       =a{(b-a)}^2+b(c^2-2ac+a^2)+c(a^2-2ab+b^2)+8abc

  *文字aを含むところを適宜展開しました。

       =(b+c)a^2+\{{(b-c)}^2+4bc\}a+(bc^2+b^2c)

       =(b+c)a^2+(b^2-2bc+c^2+4bc)a+bc(b+c)

       =\underline{(b+c)}a^2+{\underline{(b+c)}}^2a+bc\underline{(b+c)}

      *共通因数(b+c)でくくります。

       =\underline{(b+c)}\{a^2+(b+c)a+bc\}

       =(b+c)(a+b)(a+c)

       =(a+b)(b+c)(c+a)

 

 このように、1文字選んでしまえばごちゃごちゃせずに解くことができますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

5)実際の入試問題

 それではこれまでの説明を踏まえて、実際の入試問題を解いてみましょう。

最初は自分でやってみてから解答を参考にしてみてください。

 

問題)a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2

 

 

それでは解答を書いていきたいと思います。解答の後に解説していきます。

a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2

=a^4-2(b^2+c^2)+b^4+c^4-2b^2c^2

=a^4-2(b^2+c^2)a^2+{(b^2+c^2)}^2-4b^2c^2

={\{a^2-(b^2+c^2)\}}^2-{(2bc)}^2

=\{a^2-(b^2+c^2)-2bc\}\{a^2-(b^2+c^2)+2bc\}

=\{a^2-(b^2+2bc+c^2)\}\{a^2-(b^2-2bc+c^2)\}

=\{a^2-{(b+c)}^2\}\{a^2-{(b-c)}^2\}

=(a-b-c)(a+b+c)(a-b+c)(a+b-c){\cdots}

横浜市立大学2011

 

どうでしたか?できていましたか?

できなかった人のために解説していきます。

 

 まず、問題は対称性のある式ですのでaについての降べきの順に並べてやっていきたいと思います。

a^4+b^4+c^4-2a^2b^2-2a^2c^2-2b^2c^2aについて並べると

=a^4-2(b^2+c^2)+b^4+c^4-2b^2c^2となります。

 

ここからが問題です。

因数分解できるじゃん!っと思って

a^4-2(b^2+c^2)a^2+{(b^2-c^2)}^2としてしまうとこれ以上何もできなくなってしまいます。

 では、どう考えればいいかと言いますと、この式をよく見てみてください。\underline{{(b^2-c^2)}^2}\underline{{(b^2+c^2)}^2}だったら{(x+y)}^2の形に因数分解できますよね?

 では{(b^2+c^2)}^2なるようにしていきましょう!

 式全体に\underline{+2b^2c^2}を足して最後で\underline{-2b^2c^2}を引いて調節します。

すると、こうなります。

 

=a^4-2(b^2+c^2)+b^4\underline{+2b^2c^2}+c^4-2b^2c^2\underline{-2b^2c^2}

これを整理すると、

 

=\underline{a^4-2(b^2+c^2)a^2+{(b^2+c^2)}^2}-4b^2c^2

 

上記の式の下線部は{(x-y)}^2の形に因数分解できますね。また、4b^2c^2{(2bc)}^2の形にできますのでやっていきましょう。

 

={\{a^2-(b^2+c^2)\}}^2-{(2bc)}^2      

これは x^2-y^2の形ですね。さらに因数分解していきます。

 

=\{a^2-\underline{(b^2+c^2)-2bc}\}\{a^2-\underline{(b^2+c^2)+2bc}\}

 

上の式の下線部の部分を-でくくります。

 

=\{a^2-(b^2+2bc+c^2)\}\{a^2-(b^2-2bc+c^2)\}

すると、また{(x+y)}^2{(x-y)}^2の形で因数分解できますね。やっていきましょう。

 因数分解するとこうなります。

 

=\{a^2-{(b+c)}^2\}\{a^2-{(b-c)}^2\}  

また、 x^2-y^2の形が出てきましたね(笑)

 

もう一度 x^2-y^2因数分解すると答えが出てきます。

 

=(a-b-c)(a+b+c)(a-b+c)(a+b-c){\cdots}

 

 どうでしょうか。理解できましたか?

 私はいつもこんな感じで考えて因数分解の問題を解いていますので、しっかりと押さえればある程度の問題は解けるようになると思います。

 

 

 今回は前回に引き続き 因数分解についてお話ししていきました。今回の記事を読んでもらうことにより、以前は解けなかった問題も少しは解けるようになっていると思います。#9も合わせて因数分解の話を読んで、少しでも多くの問題が解けるようになってもらえると嬉しいです。