#23 合同条件・相似条件
こんにちは、医学生Gです。今回は 合同と相似 の話をしていきたいと思います。合同、相似は中学で登場して以降高校に入っても当たり前のように使う分野ですので、しっかりと理解していきましょう。
ここでは、できるだけゆる〜い言葉でふんわりと解説していくので、定義など正確な表現は各自教科書等で確認してくださいね。
1)ざっくり説明
合同→形も大きさも同じ図形のこと。対応する辺の長さも、角の大きさもそれぞれ等しくなる。
例えば下の図の△ABCと△DEFが合同な図形であるとします。同じ形、同じ大きさなのでAB=DE、BC=EF、CA=FD さらに ∠A=∠D, ∠B=∠E, ∠C=∠F となります。 要するに全く同じ図形が2つ並んでいるだけです。
相似→形は同じだが大きさが異なる図形のこと。対応する角の大きさは同じですが、対応する辺の長さは違います。ただし、辺の長さの比は同じになることが重要です。
例えば下の図の△ABCと△DEFが相似な三角形であるとします。まず形は同じなので角度は等しく ∠A=∠D, ∠B=∠E, ∠C=∠F 。さらに辺の比が等しいので AB:DE=BC:EF=CA:FD という関係が成り立ちます。
もし、「DEはABの1/2倍、EFはBCの1/3倍」のように辺の比が違っていたらどうなるのでしょうか。イメージできますか? 歪んでもとの図形とは違う形になってしまいますよね。このように同じ形であることを維持するには全ての辺を同じ比率で伸ばしたり縮めたりする必要があるわけです。この比のことを相似比と言います。AB:DE=BC:EF=CA:FD=2:1 であるならば 相似比は2:1です。
2)合同条件
突然ですが問題です。あなたはいまから電話越しに指示をして、下に示す△ABCと同じ三角形を通話中の相手に書いてもらうとします。全く同じ三角形を書いてもらうためには、あなたはこの△ABCの特徴をどの様に伝えたら良いでしょうか。
「∠C=30°、、AB=2 の三角形」と伝えるのはどうでしょう。
一見大丈夫そうに思うかもしれませんが、ダメなんです。
下の図を見てください。
この条件を満たす三角形は正解である△ABCの他に△DBCもあるのです。
これでは、正確に伝えられたと言えませんよね。
正確に伝えるためには次の3つのうちのいずれかの伝え方をしなくてはいけません。
a)3辺の長さ を伝える
b)2辺の長さとその間の角度 を伝える
c)1辺の長さとその両端の角度 を伝える
これらの伝え方であれば先ほどのように候補が二つでたりせず、三角形の形状がただ一つにビシッと決まります。
合同条件とは、二つの三角形が形も大きさも同じであることを保証するための条件ですので、考え方は先ほどのa)b)c)と同じです。少しだけ言い方を変えて、以下の3つを三角形の合同条件と言います。
a)3辺の長さがそれぞれ等しい
b)2辺とその間の角がそれぞれ等しい
c)1辺とその両端の角がそれぞれ等しい
複数の三角形があって、これらのいずれかを満たすのであれば、それらは合同であると断言できるのです。
3)相似条件
先ほどと少しだけ変わって、大きさは違えど同じ形の三角形であることを保証する条件のことです。合同条件をベースに考えてみましょう。
まず合同条件
a)3辺の長さがそれぞれ等しい
b)2辺とその間の角がそれぞれ等しい
c)1辺とその両端の角がそれぞれ等しい
これをベースに相似バージョンにしようとしてみます。
次の図の三角形において、条件を考えてみましょう。
a)AB:DE=BC:EF=CA:FD
つまり、3組の辺の比が全て等しい こと
b)∠B=∠E かつ AB:DE=BC:EF
つまり、2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい こと
c)∠B=∠E かつ ∠C=∠F かつ BC:EF=....??(何と等しくなるんだ)??
つまり、1組の辺の比とその両端の角が等し…? ん?
c) で困ったことが起きましたね。辺の比が1組しかないと、比較対象がないために等式ができず、条件として機能しません。よって、一辺とその両端の角 作戦はだめみたいです。
かわりに、何か別の条件はないでしょうか。
あります。大きさが同じでなくてもいいなら、三角形の角の大きさが全て等しいだけで同じ形になります。三角形の内角の和は180°だから2つわかってしまえば自動的にもう1つも決まるということを考えて、
c)2組の角がそれぞれ等しい
この条件なら相似であることを保証できます。
まとめると相似条件は
a)3組の辺の比が全て等しい
b)2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい
c)2組の角がそれぞれ等しい
の3つになります。
いかがでしたか?今回の記事は以上になります。私たちが最も伝えたかったことは、
合同条件、相似条件は別々のものではなくそれぞれが深く関わりあっている
ということです。相似と合同を学年を跨いで別々のタイミングで学習される方も多いと思いますが、これら2つを全く別のものだと思わず、関連付けて頭の中に入れておいてください。
合同、相似は中学数学で最も"証明する力"が試される分野だと思います。正確かつスマートな証明ができるようになれば高校数学でも有利になることは間違いなし!ですから、どんどん難しい問題にチャレンジしてパワーアップしていきましょう。