医学生Gの数学ノート

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#4 判別式と虚数解について

 以前の記事 (#2)では二次方程式の解き方について考えましたが、二次方程式っていつでも実数解が出るわけではないんですよね…

今回は二次方程式の解について詳しく考えていこうと思います

 

 

まずはx^2-x+1=0で考えていきましょう。

 今回は#2で説明したように「2乗して◯◯になる数は?」作戦で解いていきます。

 

x^2-x+1=0

 

{(x-\frac{1}{2})}^2+\frac{3}{4}=0             まず、平方完成します。

 

{(x-\frac{1}{2})}^2=-\frac{3}{4}                2乗して-\frac{3}{4}になる数はなんですか?     

 

 x-\frac{1}{2}=\pm\sqrt{-\frac{3}{4}}           \pm\sqrt{-\frac{3}{4}}ですね。

 

x=\frac{1\pm\sqrt{-3}}{2}                       整理するとこうなります。

 

ここに至るまでに思った方もいるかもしれませんが、ルートの中がマイナスっておかしくないですか?ルートは正の数のはずなのに…

 

これが#3で少し紹介しました虚数ってやつです。

最初にお話しした通り二次方程式はいつでも実数解が出るわけではないんです。

実感していただけましたか?

 

 

次の話に行きます。

二次方程式の話に関連するキーワードとして 判別式 というものがあります。

 判別式という名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、「判別式が何を判別するものなのか」をちゃんと理解していますか?

 これから、判別式によって二次方程式、二次関数の何を判別できるのかを説明していきたいと思います。

 

#2で説明した通りax^2+bx+c=0の解はx=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}でしたよね?

 

 ここで二次方程式の解が実数なのか虚数なのかはどこで見分けるかといいますと、ルートの中が0以上なのか0より小さいのかで判別します。

 

つまり、上記で示した解のルートの中身であるb^2-4acが0以上なのか0より小さいかで二次方程式の解が実数なのか虚数なのかがわかります。

ルートの中が0以上であれば解は実数であり、0より小さければ解は虚数ですよね。 このb^2-4acこそが判別式なのです。

 

まとめると

D=\begin{cases}b^2-4ac≧0\qquad実数\\b^2-4ac<0\qquad 虚数\end{cases}\

*判別式のDは英単語 discriminant のDです。

 

このとき解の個数が何個になっているかをみてみると、

 

D>0のときはb^2-4ac>0より\pm\sqrt{b^2-4ac} が残るため実数解が2個

D=0のときはb^2-4ac=0となり、\pm\sqrt{b^2-4ac} が0となって消えるため、解はx=\frac{-b}{2a}だけとなり 実数解 1個

D<0のときはb^2-4ac<0となるため、\pm\sqrt{b^2-4ac}虚数として残り、虚数解が2個出てきます。

 

 以上、判別式を用いた実数解・虚数解の判別の仕方を理解してもらえましたでしょうか。

 

 

次に判別式の値と二次関数のグラフの関係についてみていきましょう!

 y=ax^2+bx+c の二次関数について考えていきます。

 

1)D>0のとき 二次関数とx軸は2点で交わるため、実数解は2個。

x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a} が2つの交点のx座標になります。

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2)D=0のとき 二次関数とx軸は接するため、実数解は1個

x=\frac{-b}{2a}  これは接点のx座標になります。

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3)D<0のとき 実数解は0個。

実数解がないということは 放物線とx軸が交点を持たない ということと対応しています。

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以上、 判別式とグラフの関係性を理解してもらえましたか?

 

 

 

今回説明したことを表にまとめると以下のようになります。

  二次方程式 放物線とx軸との交点
D>0のとき 実数解2個 2個
D=0のとき 実数解1個 1個
D<0のとき 虚数解2個 0個

 

 判別式は数学の問題を解く上でいろんなところで必要となる重要な式であるため、この記事を通して判別式について理解を深めてもらえると嬉しいです。