#7 数の種類 part3
前回の記事(#6)では立方数まで紹介しましたよね。
今回はその続きとして、知る人ぞ知る少しマニアックな数を紹介していこうと思います!
1)タクシー数
タクシー数とは2つの立方数の和としてn通りに表せる最小の正の整数のことを言います。これだけだとわかりにくいと思いますので例を見ていきましょう。
n番目のタクシー数をとすると
1番目のタクシー数なので2つの立方数の和として1通りで表せる数のことです。
2番目のタクシー数なので2つの立方数の和として2通りで表せる数のことです。
3番目のタクシー数ならば2つの立方数の和として3通りに、4番目ならば4通りに表すことができます。このような数のことをタクシー数といいます。
*ちなみに3番目のタクシー数は87539319とさらにとても大きな数になります。
ここで、に関する有名なエピソードを紹介します。
天才数学者ラマヌジャンが診療所に入院している時に、見舞いに来たハーディさんが
「1729のナンバーのタクシーに乗ってきたが、なんの特徴もない数字だったなぁ」
という話をしたら、ラマヌジャンは
「そんなことはない。とても興味深い数字でそれは2通りの、2つの立方数の和の形で表せる最小の数です。」
とすぐさま返答したらしいです。瞬時にそんなふうに答えられるのはさすがとしか言いようがないですね。このエピソードから、1729はラマヌジャンナンバーと言われることもあります。もし身の回りでナンバーが1729の車を見つけたら、そのオーナーはこのエピソードを知っている数学オタクかも知れませんね。
2)友愛数
友愛数とは異なる2つの自然数の組で、自分自身を除いた約数の和が互いにもう一方と等しくなるような数のことをいいます。例えば220と280の組で見ていきましょう。
220の約数は1,2,4,5,10,11,20,44,55,110,220です。
280の約数は1,2,4,71,142,280です。
それぞれ自分自身の数字を除いた約数を足していきましょう。
220の方は1,2,4,5,10,11,20,44,55,110を全部足すと280になります。
280の方は1,2,4,71,142を全部足すと220になります。
どうでしょう。220と280の組で自分自身を除いた約数の和が互いにもう一方と等しくなりましたね。このような数を友愛数といいます。
ロマンチック…ですかね? 笑
はい、次の数にいきましょう!
3)接吻数(kissing number)
接吻数とはn次元の単位球(中心からの距離が1の球)の周りに単位球を重ならず触れ合うように並べるとき、並べることができる最大の数のことをいいます。(次元を変えながら、1つボールに同じ大きさのボールを何個くっつけることができるかということを考えていきます。)
球と球が接していることをkissingと表現しているところがなんかオシャレですよね。そんなことは置いといて、早速例をみてみましょう。
1次元は簡単に言えば直線のことです。直線上に単位球を並べると1つの単位球にはその両側に2つしか接することができませんよね?よって1次元の接吻数は2になります。イメージは下の図の感じです。赤色の球にいくつの球をくっつけられるかを考えていきます。
2次元は簡単に言えば平面のことです。1次元の単位球に対して縦方向にも単位球を追加できるようになりました。先ほどの1次元の図の上下に単位球を2つずつ加えることができますよね。よって2次元の接吻数は6になります。イメージとしてはこんな感じです。
3次元は2次元の平面に高さを足した空間のことです。すると2次元の図の下側(黄色い球)と上側(青い球)に3個ずつ球をさらに追加することができますよね。よって3次元の接吻数は12になります。*下の図空間を真上から見下ろした図です。
化学で登場する六方最密構造と同じような配置になっています。
4次元から想像するのが難しくなってくるので飛ばしてもらっていいです。4次元を空間に時間軸を加えたもの、と考えるならば、時間軸に沿って1回移動する前後で3次元の接吻数12の状態をそれぞれ作ることができるので、接吻数は12の2倍で24となります。
5次元以上は…自分には想像できないです(泣)
今回の記事は以上になります。
マニアックな話も多かったですが、様々な数の種類があることを、面白い と思ってもらえると嬉しいです。
稀にですが、今回紹介したような教科書に載っていないことが入試問題を作るうえで題材になることもあります。雑学として知っておくと、いいことがあるかも知れませんね。